漫画 君たちはどう生きるか を読んで
今話題になっている漫画、
を読みました。
この物語は80年前に、出版された本が、
漫画として描き下ろされたものです。
作中では、中学生のコペル君が感じたことや
考えたことをおじさんに話し、そのことに対しておじさんが考えたことや伝えたいことを、
後日コペル君に渡そうとノートに書いた記述で
内容を深く掘り下げて考えていくという構成に
なっています。
この中から、私が感銘を受けた内容を抜き出していきたいと思います。
まずはコペル君のあだ名のもととなった、
コペルニクスの地動説になぞらえた、物の見方からです。
とかく私たち人間は天動説さながら、自分を中心として物を見たり考えたりしたがる性質を持ち、地動説が信奉されるまで何年もの年月がかかったように、根深く、頑固なものである。
子供のうちは、天動説の様な考えかたが多いが、大人になるにつれ、地動説のように考えれるようになる。広い世間を先にして、いろいろな物事や人を理解してゆく。
しかし、自分の損得に関わることに関しては、
コペルニクス的考えをできる人は稀であり、
大概の人は、手前勝手な考えかたに陥って、
物の真相がわからなくなり、自分に都合のいいものだけ見ていこうとする。
天動説が信じられていた頃、宇宙の本当のことがわからなかったことと同様に、自分ばかりを中心にして物事を判断していくと、世の中の本当のことも、ついに知ることができないでしまう。大きな真理は、そういう人の目には、決してうつらないのだ。
次は、真実の経験についてです。
世の中はこういうもので、人間がいきているのはこういう意味があるのだ、と一口に説明を聞いても、実感を伴った経験がないと、理解できない。
例えば水の味を説明したところで、実際に飲んでみないと、分からない。
絵や音楽の面白さも味わってみないと、
すぐれた芸術に接したことのない人にいくら説明したって分からせることはできない。
ただ目や耳が備わっていても、それを味わうための心の目、心の耳が必要だ。
まして、人間としてこの世に生きていることが、どれだけ意味のあることなのか、それは、
本当に人間らしく生きてみて、その間にしっくりと胸に感じとらなければならないことで、
どんな偉い人をつれてきても、教えこめるものではない。
人間らしく生きるとは、じぶんが本当に感じたものや、心を動かされたことから出発して、
その意味を考えてゆくこと。
言い換えると、常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけということ。
ここにごまかしがあったら、どんなに偉そうなことを考えたり、言ったりしても、みんな嘘になってしまう。
簡単に言ってしまうと、いろいろな経験を積みながら、いつでも自分の本心の声を聞こうと努めなさい、ということ。
続きはつぎの記事にします。